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法務局長の休日。(カミナ×キタン)

「うるせえよなあ」

カミナぼそりとが言うのが聞こえたので、キタンは目を開ける。
窓の外で、風がごうごう唸っていた。

「もう来たのかよ」

キタンは布団の中で寝返りを打う。夜の間に、嵐がカミナシティにやって来たらしい。昨夜の天気予報では、昼頃上陸と言っていた筈なのだが。
ちなみに今年最強と言われていた、前の嵐をも上回る規模らしかった。
夏の間はちっとも来なかった嵐が、今月になってからそれを挽回しようと大暴れでもしているのかなあ…と、キタンは起きぬけの働かない頭でぼんやりと考えていた。

「…やっと起きやがった」

カミナはむすっとしたように言う。

「お前こそ、いつから起きてたんだよ?」

「んーー… ちょっと前」

「ちょっと前って何だよ、それ」

ベッドサイドのテーブルに置いてある時計を見ると、午前九時だった。
今日は仕事が休みでよかったと、キタンはつくづく思った。

「で、まだいたのか」

本来、ここにカミナがいるという事じたい、可笑しい。
カミナは、あの7年前の激しい戦いの後、後遺症に苦しんだ末に、カミナシティから遠く離れた砂漠あるオアシスでひっそり生活しているはずなのに。

「どう考えても、警報出てるじゃねえか。そんなだってのにお前は、この俺に海越えて、砂漠も越えて薄情にも帰れって言うのかよ」

カミナはギロとキタンを覗き込み、むっすりと

「確かめてみやがれ」

と、言いベッドから降りる。
一方キタンはもそもそと自分の周囲を探すが、眼鏡が見つからなかった。
法務局長という仕事に従事をするようになって慣れない事務職を続けたせいか、最近視力が落ちてしまい、眼鏡をかけるようになっていたのだ。
初めてその姿をカミナが見たとき『似合わなねぇ?』と大笑いされたことが、未だに悔しい思い出として残っていた。

「…んーーー…」

キタンは仕方なく、焦点のぼやけた目でテレビのリモコンを探す。
だが、こちらの方も見つからなかった。

「こっちこっち」

ごそごそしていると、ベッドから降りたカミナが両方差し出して来た。
眼鏡を掛けてテレビをつけてニュースをみると、やはり嵐だった。
天気図にははっきりと、カミナシティの上に巨大な雲の塊が映っている。
そして、キタンの住んでいる地域にも警報が発令されていた。

「あ?あぁ」

キタンは大きくは溜息を吐く。
せっかくの休日だと言うのに…と、キタンはこれでは外出もままならないと、悪態を吐く。
飛んできた看板に当たったり、傘を壊したりするのはまっぴらだったからだ。
おまけに、本来は今日は一人でゆっくりする予定だった。

「何だ? 別にいいじゃねえかよ」

しかし、キタンの胸の内とは裏腹にカミナが能天気に抱きついてきたのだ。

「…ちょっ バカやろうっ」

キタンは抱きついてきたカミナを思わず振り払った。
1人では歩くのに補助する器機が必要なほど、四肢に障害を残してしまったとは言え、カミナの方が図体が大きいので、すり寄られると重くて鬱陶しかったのだ。

それに、朝っぱらからいちゃつきたくなどはなかった。
昨夜、散々抱かれて睡眠不足だと言うのに。

「そうだ! こう閉め切ってちゃ、空気が悪いぜ?」

しかし、カミナは一向に彼は悪びれる様子もなく、床に投げ捨ててある簡易松葉杖を拾い上げゆっくりと窓辺に向かう。
夕べ天気予報を見て、寝る前に窓を閉めて寝たので、部屋の空気は確かにむっとしていた。

「おいっ、開けない方が――」

キタンがそう言うか言い終わらないかの内に、カミナは窓を開けてしまい生暖かい風がどっと室内に吹き込み、それに乗って雨の雫が入ってきたのだ。

「…うわあっ」

当然なことなのだが、カミナの顔に雨がかかったらしく、小さく声を漏らし仰け反った。

「早く閉めろっ! 床が濡れるじゃねえかっ」

「言われなくても閉めるよっ」

カミナは窓をぴしゃりと閉め、ご丁寧に鍵まで掛ける。

「こういう時は、ドームに住んでねえと困るな。ま、俺は砂漠に住んでるから、こーいう嵐は面白れえけど、雨はうざったいなあ」

カミナは、大降りの雨を窓越しに眺めていたかと思うと、ベッドに戻って来ながらぶつくさ言っていた。

「仕方がねーだろ?、官僚はドームのマンションじゃなく戸建を与えられてんだからよ」


カミナはいつも、キタンの家へ来るとに文句を言っていた。
カミナの住んでいるオアシスの家からしたら、天と地の開きがあるほど便利なはずのキタンの家なのだが、その分の文句をキタンににぶつけているようにも思えた。
しかし、カミナが好んで砂漠のオアシスに住んでいるのだ。
それなのに、文句を言われるキタンからしたら納得がいかない。


どっかりとベッドの反対側にカミナの体重が掛かるが、キタンはそんなカミナに対して知らん振りをしたままテレビを見ているふりをする。
しかしそんな素振りのキタンに対してカミナはいきなり、抱き締めて来ると

「ま、休みになってよかったよ。これで、一日中一緒にいられるからな。もう一日ここにいてやってもいいし」

そうキタンの耳元でそう囁いた。

「いや、こちとら久しぶりの休みの日なんだ、ゆっくりしたい俺としちゃ、お前が邪魔だ」

と、抱き締めてくるカミナに向けてキタンは文句を言うが、そんなカミナの些細な言葉がキタンにとって少し嬉しかったのか、今度は無理に振り払うことはしなかった。

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