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きらきら星?キングの夢、星のかけら?(キングキタン+キタン)

「なんで、俺はこんなにもキタンの事が好きなのに、キタンを護る事が出来ないんだろう…」

最期の爆発の瞬間キングキタンは、まるで人間のように意識がふと浮かんだ。
いつでもピカピカに光っているように、キタンは自分を丁寧に磨いてくれていた。
モップで水洗いをしたあと、キレイなタオルで乾拭きしてからぴっかぴかになるようにワックスをたっぷり塗って磨いてくれた。
そして、いつもキレイに磨いたあと、本当に嬉しそうな笑顔で自分を見てくれた。

だから、キングキタンはいつもそんなキタンをみてるのが、凄く嬉しかった。

「この機械の両手は、キタンを護るためにあったんじゃないのか? 戦うためだけにある両手じゃなかったはず…」

キングキタンは、悔しかった。
大好きなひとを護れなかった自分が憎らしかった。
パワーアップしても、キタンを護れなかった自分が悔しかった。

キタンを護るためなら、この機械の命、喜んで捧げたのに。
もしも カミサマ というものが存在していたなら。

キングキタンは、そんな思いに駆られた。


けれど、もう遅い。
キタンと一緒にいられた時間は、この闘いで奪われてしまった。
出切れば最後まで護りきって、再びあの自分たちの住んでいた星、地球へ一緒に戻りたかったけれど。
こんな暗い宇宙が墓標だなんて、キタンには似合わない。
くるくると、まるでキタンの表情みたいに変化する、地球の景色こそ、キタンが眠るのに一番ふさわしい場所なのに。
けれど、それが叶わないのなら…。
機械の両手で、キタンを抱き締められたら良かったのに。
最期の瞬間だけ、キタンを抱き締めてせめてキタンがこの冷たく暗い宇宙で寒くないようにしてあげられたのに。
キングキタンは、薄れてゆく意識のなか、ふとそう思った。

ふと、そのとき。
キングキタンは気付いた。


「何故、今自分はこうして考えることができているんだろう」かと。
そしてそれは「いつからできていたんだろう」と。



そう考えた瞬間、視界にキラキラと真っ白に輝く世界が広がったかと思うと、その自分の両腕が「人間」の腕と同じものになっているのに気付き、更にその自分の腕の中に、穏やかな表情で眠るように眼を閉じたキタンがいた。


「…!」


キングキタンは、何が起きたか判らず、かと言ってキタンを放り出すこともできるはずもなく、顔面を真っ赤に染めて腕の中のキタンをじっと見詰めていた。

こうして、身近でじっくりとキタンを見詰めるのは当然初めてで。
自分が思っていたよりもずっと細身だったことに気付いた。
そして閉じられた瞼は、彫りの深さの陰影を消し、整えられてないボサボサの眉毛に短い睫がなんともキタンらしく嬉しかった。


「キタン…」

ふと、声に出すつもりはなかったのに、口を付いて出てしまった自分の声。
その自分の声は思っていたよりも低くて、どちらかというとよく響く声だったので思わず驚いて周囲を見渡し、更に自分の声に驚いて起きてしまってないかと、慌てて抱いていたキタンを見下ろした。

「…ん?」


まだ虚ろな表情だったが、キタンは目を覚ましていたらしく、少し不思議そうな表情を浮かべて右手をそっとキングの頬に触れる様に差し伸ばしてきた。

「…なんだ、キング… そこにいたの か…」

キングがそこにいることを確認したかのようにそう言うと、キタンはふにゃり…と口元を緩め微笑む。
それはまるでキングがそこにいることを当然かの様に思っていたかのようで、思わずキングは吃驚した表情でキタンを見詰めた。

「何、驚いてんだよ… 俺はずっとお前が俺を護ってくれてたのを知ってたんだぜ? ありがとよ、キング。お前が俺をずっと護ってくれてたから戦ってこれたんだんだからな? ありがとうキング。そして、済まねえな… 腕…?げちまった…。痛かっただろ… ごめんよ…」

自らの手で触れてキングの存在を確認すると、キタンの表情は虚ろなものがはっきりしたものへと変化し、キングのキラキラと柔らかく輝く金色の短く刈り上げられた髪に触れ、そして頭を撫でた。

「…キタン…ッ! そんなことない… そんなことないッ! それどころか、俺は…キタンのこともっともっと護り続けてたかったんだ… 生きて…地球へ戻ってもらいたかったんだ…ッ なのに俺は……」

余りにも優しい言葉をキタンが自分に向けて発してくれたのに感極まり、キングは震える両腕でキタンをぎゅっと抱き締める。
そして、赤く隈取の入った両の目から溢れ頬を伝う涙がキタンの肩口を濡らす。


「バカだなあ…キングは。俺はお前に十二分に護ってもらってたぜ? お前がいたからここまで来れたんじゃねえか。だから泣くんじゃねえよ、漢だろ?」

キタンはそう言ってまるで子供をあやす母親の様に、キングの頭を優しく撫で続けた。


やはりキタンは暖かく、そして優しかった。
だからこそ、ずっと護っていたかったのに。


「カミサマが、最期にお前と話せる機会をつくってくれたのかもしれねーなあ…。本当、感謝してんだぜ? 偶然お前を獣人から奪うことができたんだけど、今から思えばあの偶然の出会いがなけりゃ、お前とこうして最後の時を迎えられなかったんだからなあ…」

キングの頭を撫でながらキタンはそう言って、抱き締めてくるキングを抱き締め返し、無骨ながら優しく、本当に優しくキングの背を撫でる。
ガンメンの時なら、こうしてキタンに抱き締められることなどなかっただろう。
しかし今は人間と同じ姿をして、こうしてキタンを抱き締め、そして抱き締められている。

こんなに幸せなことはない。

夜空に輝くきらきら星のように、キンピカに光り輝くキングがキタンは本当に好きだったし、キングもキタンのあったかい思いを受け取っていた。


カミサマ、ありがとう。最期にこんなすてきなプレゼントを用意してくれて。
俺は幸せです。
キングは心の中で何度も何度もつぶやく。


「俺、キタンが主で幸せだった。嬉しかった。本当にありがとう。」


音の一切ない世界にたったふたりきり。
許された時間は、もうあまりないことを互いにふたりは気付いていた。
キラキラと煌めく星屑のような輝きが、静かにふたりの周囲に降り注く。
そしてその星屑の輝きが次第にふたりの身体のなかへと集まってゆき、ふたりの身体が輝きを増してゆく。

「時間が来ちゃったみたいだな、キング」

輝く星屑の煌めきを吸収してゆくふたりの身体は、集まった輝きの分だけ淡い色へ飲み込まれていった。

「もし、また…許されるなら、俺キタンのガンメンに生まれ変わりたい…」

先ほどまで泣いていたキングの赤く染められた隈取の吊りあがった目が、ふわりと笑みに崩れる。

「おう、また…一緒に戦えるといいな」


そんなキングの笑みをみて、嬉しそうにキタンは笑いかけ。
そして、星の欠片が飛び散っていくように、消えていった。



「また、一緒に…」




そして、キングもキラキラと輝く星の瞬きにも似た光を放ち、淡い光りの中へと消えていったのだった。


*おわり*
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