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廃園に朽ちる天使像(カミキタ前提シモキタ)

凍えるような真っ白い上弦の月の夜に
珍しく深い眠りに落ちて
まるてフラッシュバックを起こすように、あの頃の夢を視た。

何度、手を伸ばしても救えない。
叫んでも、嘆いても、泥水の中でのたうちまわっても
もう二度と会えないあいつ。


辛い記憶は其処までで、咽喉の渇きに目が覚めた。
あの、空色にも似た癖っ毛が、深紅の意志の強い目が自分達の前から去り
もう、どれだけ経ったんだろうか。





ベッドのスプリングを軋ませて端に腰を掛けると、
「あ、もう起きたの?」
開け放たれたドアを見るとビール片手にシモンが立っていた。
「俺も…飲み…て…ぇ」
咽喉の渇きのせいなのか思ったより掠れた声が出る。
手渡されたビールはもう残り僅かしかなく、乾いた喉を潤すほどのものは得られなかった。
「…物足りなさそうな顔だね」
シモンの言葉を聞き流すようにして
「…昔の夢を見ちまった」
と、呟く。


「…」
呟かれた言葉にシモンは少しだけ眉間に皺をよせる
目の前の人物の表情から、どんな夢をみたか直ぐにわかったからだ。


「いい加減、卒業しなよ 俺はとっくの昔に克服できたのに。ヴィラルもね。あとはキタン、あんだだけだよ?」
「五月蝿ぇ! 判ってるくせにヌかすなッ!」
そう吐き捨てるように言うと握りつぶしたビール缶を投げつけた。
が、それをシモンは易々と片手で受け止めてしまう。

ニヤついた顔に嫌気が差してベッドに寝転がると、シモンが馬乗りになって重みをかけてくる。
其の顔には先ほどまでの薄ら笑いは消えていた。

「お前を…どうしたら此処に留まらせることができる?」
其の瞳は酷く真剣なまなざしで逸らせない。
明日になれば、またこの目の前の男は怠惰と憂鬱に満ちた表情で、象牙の塔の高みから、総てを諦めた表情で世界を眺めるのだろう。
「無理だね。 あの頃の俺は、もういないし…」

そう言って笑った顔は、仮面のようだった。


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