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闇(イングラム×イルム)

魂が、砕けてゆく。

心も、肉体も、そして想いも。

其処に在った・・・という証明さえも、総て。

四肢が爆風に煽られ、その熱風で炙られ躯が蝋細工の様に熔けてゆくのが、判った。

痛みは既に、ない。

ただあるのは、遺して逝く、者達への想いだけ。

偽りの、かりそめの魂だったとしても、私は確かに、其処にいた。

幼い魂の若者達を導く存在として、其処にいた。


けれど。

唯一、私を頼ろうとせず、己の道を歩み続け、そして私に手を差し伸べた男がいた。

反対に幼い者達は、愚かにも私に救いを求めるばかりで、私が何を求めているのか判ろうともしなかったのに。

そう。幼さ故の愚行、今更断罪など出来はしない。

だがその男もまた、私と同じくして終焉の時を迎えようとしている。

否。男は自ら選択したのだ。私と供に逝く事を。

私とは違い、男は酷く穏やかで優しい波動でずっと・・・。


死は、総ての生きとし生けるものに平等に授けられる。

貧者にも、富者にも、悪人や善人にも、老若男女総てに、死は平等に垂れ賜う。

誰も、死からは逃れる事は出来ない。


ああ。


願わくば、あの愚かな幼き者達が苦しまない様に。

願わくば、私の目前で微笑む男が迷う事無く、歓びの野に旅立てる様に。


そして。


凍れる煉獄に墜ちるのは・・・私だけでありますように。




少し手を伸ばせば、直ぐ触れられる位置にいるのに。

後少し手を伸ばせば、抱き締めてやれる場所にいるのに。

なのに、俺には触れることも抱き締めることも出来なかった。

俺はただ、おまえを救いたかっただけなのに。

傲慢だとか、自分勝手だとか、言いたければ言うがいい。

俺はそうやって生きてきたんだ。


「運命」なんてモノは努力すればどうにでもなる。でも「宿命」は違うんだ。


俺はずっと「運命」を自分の手で変え続けて来た。

そう生きるのが人間だって思っていたからだ。

けれど「宿命」からは逃れられなかった。

俺も、おまえも。

だから最後ぐらいは、おまえを抱き締めて

自分達が最後まで足掻いた事を子供達に見せてやりたかったんだが

どうやら、それすらも無理な様だ。

もう、俺の目はおまえの緩やかに巻く流れる長い藍の髪を見ることすら出来ない。

確かに目の前に、おまえがいる事は判るのに。


苦しくはないか。


哀しくはないか。


そして・・・辛くはないか。


俺が一緒に逝ってやる。


だから・・・もう、強がるのはよせ。



さあ。

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