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''Libera me'' from hell 《1》

「へえ…そんなにしてまで生き延びたいかねえ? 俺なら…」

眼帯の男はそこまで言うと手にしていた倭刀を振り翳し、地べたに這い蹲って飛蝗の様にぺこぺこと命乞いをする野盗1人の首を軽く一閃して薙ぐ。
首を薙がれた野党の1人は、何が起きたか判らないと言った表情のまま、勢い良く薙がれた首から血を噴出させつつ、地べたにくたりと身体を落とし、同時に首はその勢いに併せるかの様に軽く跳ねる様にして飛び、地べたに転がった。

「いいか、てめえら。俺はちいっとばかり虫の居所が悪い。だから、少しでも俺の気分を損なうようにことがあれば、ここでくたばったこいつみたいな最期を迎えると思いな。」

そう言うと眼帯の男は、断末魔の悲鳴を上げる様に、ビクビクと痙攣を起こし暴れる首を落とされた体に向けて、再び刃を落とす。
見事な切れ味のそれは、胴を真っ二つに切り裂かれ、二度と再び動くことはなかった。
そして血に汚れた刃を軽く一度振り、その血を落とす。
同時に自らの手にかかった血を拭うことなく、ペロリと赤く尖った舌先で舐め取るその仕草一辺通りに、野盗の一味は背筋が凍る思いに駆られた。

軽く羽織った深紅のマントと、漆黒のジャンパーの下から覗くその眼帯の男の顔には幾筋もの瑕があり、更には身体はとてもこうして生きているとは思えないほどに瑕だらけで、藍に染められた元々はきっと美しい紋様だったであろう刺青も、その瑕の治療痕でで見る影もなく崩れていた。

「…チッ。 今日は傷が疼きがる。なんだってんだ…  くそっ!」

眼帯の男は、中でも致命傷だったと思われるほどの酷い胸の瑕を指で押さえるようにして呟くと、その瑕の疼きに忌々し気に唾棄し、

「おい。気が変わった。お前ら…奴等皆殺しにしとけ。俺等の縄張りで盗みを働いたんだ、それくらいの代償は当然だからなあ」

そう言うと、自分の後ろに控えている数名の部下に向かって軽く顎で捕らえられ震えている野盗達を差した後、眼帯で隠れてない方の紅い目で、その野盗達を見下すようにして一瞥する。
そして、その紅い目に昏い灯火が点るとニヤリと歪んだ笑みを浮かべた。







「…いったい… どうしちまったんだ…まったく… こう毎夜こんな夢を見たら…気が狂っちまう… くそ…っ」

アジトに戻ると、眼帯の男はアジトにいる女達の手を振り切り早々に自らの部屋に篭り、テーブルの上においてあった酒瓶や果物の乗せられた皿を手で薙いで床に叩き落としそのテーブルを何度も蹴る。
その姿は、まるで癇癪を起こした子供のようだった。

「…おやっさん…助けてくれよ… 俺の夢に出てくるやつは…何者なんだよ…」

陽に焼けてくすんだ色をした空色の髪をバリバリと掻き毟り、そのまま床へと蹲る。
夢に出てくる少年は無言のままとても暗く、そして悲しそうな眼で自分を見詰めて来るときもあれば、辛そうな表情で声にない声で自分の名前を呼んでは消えてゆく。
いったいそれが誰なのか、彼には皆目見当が付かなかったが、あまりに毎日夢に出てくるために、自分は狂ってしまったのかもしれないとも思い始めていた。

「何が言いたいんだよ… いったい俺に何を訴えてんだよ…」

そして夢の少年は、気付くと幻になって見えるようになり、そして彼の行為を咎めるように、日に日にそれは鮮明なものになってゆく。
そして気付けばその少年の顔がはっきりと判るまでになったのだが、どう考えても彼には記憶にないものでしかなく、イライラはピークに達していた。

「ちゃんと言葉に出来ねえんなら、お呼びじゃねえんだよ。とっとと消えやがれ…」

胸の瑕痕を掻き毟るようにして蹲まった身体を起こし、そう幻の少年が佇む壁に向かって睨みつけ吐き捨てた。







今でこそこうして自由に動き回れるが、その実こうしていることが奇跡の様なほどの大怪我をしたまま小高い丘で呆然と立ち竦んでいる処を、この盗賊団の初代が拾ってきたのが始まりだった。
酷い瑕と出血からなのか、彼を救った盗賊団の頭の下で目覚めた時には既に片眼は視力を失っており、もう片方の眼も生活するには支障のない程度の視力しか残っていなかった。
それでも盗賊団の頭は、彼を拾った責任からか、それとも何か思うところがあってなのか彼が1人で動けるようになるまで面倒を見続けた。


盗賊団同士の抗争に巻き込まれ、死ぬまでは。


「丁」のえなやさんが、絵茶で描いた眼帯ヒゲカミナから生まれた、悪のカミナに挑戦です。
ちまちまと更新していきますので、まあ期待しないで下さい。
えなやさんも、絵茶中に生まれた悪のカミナの設定を持ち帰ってますので、多分絵で発表してくれる…かも?
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